
患者と家族を支える医療
ー緩和ケア・支持療法をもとに考えるー
緩和ケアは、終末期だけでなく診断時から治療と並行して、「身体的苦痛」「精神的苦痛」「社会的苦痛」「スピリチュアルペイン」それぞれを全人的苦痛として捉え対応することで、患者と家族のQOLをできる限り向上させるためのものです。がん対策基本法においても「がんその他の特定の疾患に罹患した者に係る身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安を緩和することによりその療養生活の質の維持向上を図る」ものと定義されており、そのための必要な施策として「緩和ケアが診断の時から適切に提供されるようにすること」と明記されています。また、がん対策推進基本計画第4期では「患者やその家族等のQOLの向上を目標とするもの」とされており、患者や家族に対する全人的なケアが全ての医療従事者に求められています。
支持療法は、緩和ケアの一環としてがんに関連した症状や治療に伴う副作用、合併症、後遺症を予防もしくは軽減することで患者の苦痛を和らげるものです。歯科においては、口腔支持療法として周術期やがん薬物療法中、頭頸部放射線療法中の口腔有害事象の予防や管理を行い、がん支持療法の一翼を担っています。緩和ケアも支持療法も概念として重なる部分はありますが、いずれもがん治療には欠かせないものとなっています。
しかし、2023年度の内閣府のがん施策に関する世論調査によると、緩和ケアを開始すべき時期について「がんと診断された時から」と回答した人の割合は約半数に留まっているように、緩和ケアを「終末期に行われるもの」「患者の身体的苦痛を和らげるもの」と捉えている方は医療従事者、患者やその家族問わず、まだ多いように感じます。
さらに、我が国における緩和ケアは先述の通りがん治療を中心に展開されており、その他の疾患についてはがん患者のように診断から終末期にいたるまで緩和ケアのサービスを受けられる環境がほとんどないのが現況です。緩和ケアの診療報酬加算要件をみても「悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群又は末期心不全の患者」と疾患が限定されています。しかし、患者や家族が直面する苦痛はこれらの疾患に限ったものではありません。WHOの定義では「生命を脅かす疾患に関連する問題に直面している患者とその家族」が対象となっていることから、診療報酬加算要件上の疾患のみならず、そのような状況となった全ての疾患に対しても緩和ケアは必要であると考えています。
がん患者だけをみても罹患数、死亡数ともに、高齢化を主な要因として年々増加しており、患者や家族の苦痛に医療従事者が接する機会も増えていくと考えられ、より全人的な医療が求められます。病院スタッフだけでなく、診断を受けた後に関わることとなる地域の歯科診療所の従事者も、緩和ケアチームの一員としての役割があると感じられます。
そこで第26回学術講演会では、大会テーマを「患者と家族を支える医療〜緩和ケア・支持療法をもとに考える〜」としました。緩和ケアの考え方を参加者の皆様と共有し、日々の診療に活かせる内容にしたいと考えております。皆様のご参加をお待ちしております。

緩和ケアは、終末期だけでなく診断時から治療と並行して、「身体的苦痛」「精神的苦痛」「社会的苦痛」「スピリチュアルペイン」それぞれを全人的苦痛として捉え対応することで、患者と家族のQOLをできる限り向上させるためのものです。がん対策基本法においても「がんその他の特定の疾患に罹患した者に係る身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安を緩和することによりその療養生活の質の維持向上を図る」ものと定義されており、そのための必要な施策として「緩和ケアが診断の時から適切に提供されるようにすること」と明記されています。また、がん対策推進基本計画第4期では「患者やその家族等のQOLの向上を目標とするもの」とされており、患者や家族に対する全人的なケアが全ての医療従事者に求められています。
支持療法は、緩和ケアの一環としてがんに関連した症状や治療に伴う副作用、合併症、後遺症を予防もしくは軽減することで患者の苦痛を和らげるものです。歯科においては、口腔支持療法として周術期やがん薬物療法中、頭頸部放射線療法中の口腔有害事象の予防や管理を行い、がん支持療法の一翼を担っています。緩和ケアも支持療法も概念として重なる部分はありますが、いずれもがん治療には欠かせないものとなっています。
しかし、2023年度の内閣府のがん施策に関する世論調査によると、緩和ケアを開始すべき時期について「がんと診断された時から」と回答した人の割合は約半数に留まっているように、緩和ケアを「終末期に行われるもの」「患者の身体的苦痛を和らげるもの」と捉えている方は医療従事者、患者やその家族問わず、まだ多いように感じます。
さらに、我が国における緩和ケアは先述の通りがん治療を中心に展開されており、その他の疾患についてはがん患者のように診断から終末期にいたるまで緩和ケアのサービスを受けられる環境がほとんどないのが現況です。緩和ケアの診療報酬加算要件をみても「悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群又は末期心不全の患者」と疾患が限定されています。しかし、患者や家族が直面する苦痛はこれらの疾患に限ったものではありません。WHOの定義では「生命を脅かす疾患に関連する問題に直面している患者とその家族」が対象となっていることから、診療報酬加算要件上の疾患のみならず、そのような状況となった全ての疾患に対しても緩和ケアは必要であると考えています。
がん患者だけをみても罹患数、死亡数ともに、高齢化を主な要因として年々増加しており、患者や家族の苦痛に医療従事者が接する機会も増えていくと考えられ、より全人的な医療が求められます。病院スタッフだけでなく、診断を受けた後に関わることとなる地域の歯科診療所の従事者も、緩和ケアチームの一員としての役割があると感じられます。
そこで第26回学術講演会では、大会テーマを「患者と家族を支える医療〜緩和ケア・支持療法をもとに考える〜」としました。緩和ケアの考え方を参加者の皆様と共有し、日々の診療に活かせる内容にしたいと考えております。皆様のご参加をお待ちしております。